2017-04-22 私の赤い子 fiction 最近、頭の中で金魚を飼っている。その金魚は、ただただ美しい、観賞用の金魚。 びいどろの中、フナとは程遠い体つきで、儚いひれを揺蕩わせている。彼女はいつも自慢する。 「あたし、お空を飛べるのよ」私はいつもこう答える。 「そう。私は綺麗な着物を着れるけど」「そう、あたしとおんなじね」彼女はふふ、と笑って、くるりと廻る。私は跳ねた一粒の水滴を拭う。